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安全にトラウマを癒すコツ〜自律神経のクセを知ろう〜

今回はACE体験(幼少期の、虐待・ネグレクト、医療体験、家庭や環境が安全でなかった状態)があるために、育児・教育・仕事・恋愛・介護など社会生活をする中で、生きづらさを抱えている方と、自分を安全に癒す方法を「自律神経」の方面から一緒に考えていけたらと思います。苦しんでいるあなた自身だけでなく、対人援助に携わる方や保護者の皆さんにも癒しに必要な要素を知ることで、日常の少しの努力で改善できることが意外と多いので、自他を傷つけずにトラウマケアができる情報になっています。

このブログでは主にACE体験を持っている方のために、自分自身を知ってもらいセルフメンタルケアができるよう、自分で自分のセラピストになれるよう願い、情報を発信させていただいています。改めて、ACE体験とはなんぞやという方にナディン・バーク・ハリスの「いかに子供時代のトラウマが生涯に渡る健康に影響を与えるのか」の動画を参考にACE体験が私たちの人生に及ぼす影響について知っていただければと思います。

私がトラウマケアのセッションでもやっている内容で「リソース構築」がありますが、まず自律神経を整えることが安心安全を生み出し、自分を癒す一歩になります。リソース構築ができ安心安全の土台を作りながらパーツ心理学を組み合わせることで、安全に自分を癒していくことができます。その神経系アプローチとしてわかりやすいなーと今回参考にさせていただいたのは神経セラピストの浅井さんの著書「いごこち」神経系アプローチ 4つのゾーンを知って安全に自分を癒やすです。今回は内容がボリューミーなので複数回に分けて発信していきたいと思います。

この本の序章で著者の読者へのメッセージが絵本スタイルになっていたのでその内容を動画にしてみました。どんなことをするのかイメージがつきやすいかと思います。

トラウマと自律神経・パーツ理論の関係

まず最初に、トラウマケアになんで自律神経系のアプローチが必要なのかと思われている方も多いと思うので、トラウマと自律神経・パーツ理論がどう関係しているかについて知っていただければと思います。

・防衛反応(全体)

幼少期に受けたストレスが神経系にとって、許容量より多すぎる、発達段階にとって早すぎる、その場から逃げられない、環境に耐えられない場合、私たちの身体は自律神経系の1つ、車でいうアクセルの交感神経系を働かせます。心身を緊張・興奮させたりして、たたかう、逃げる反応をしてくれます。危険が去って、生き残るためのエネルギーが身体から熱・震え・涙・汗などになって放出され、危機モードが解消されて落ち着かないと、心身にはそのまま高い興奮や緊張が残ったままになります。

そうなると、身体は心拍の上昇、呼吸困難(速い・浅い・息切れ)、冷や汗、慢性疼痛、緊張、眠れないなどの状態になります。感情や精神は、不安やパニック発作の傾向、躁状態、激しい怒りの爆発、過度の警戒、駆け巡る思考、心配にさいなまれるようになります。著者は、この交感神経系が活性化され続けている(アクセルベタ踏み)状態を「高止まり」と呼んでいます。

たたかうのも逃げるのも難しくなると凍りつくという不動状態になります。外界とのつながりを断って遮断したり、身体的な解離をして現実から離れて「お留守になる」ということもあります。それが急ブレーキの副交感性神経系の反応で、極度の温存状態です。
そうなると身体的には、低いエネルギー、極度の疲労、無感覚、低い筋緊張、消化不良、心拍と血圧の低さ、免疫機能の低下がみられます。感情や精神の反応は、うつ、解離、無気力、他人とかかわれない、無反応になります。 交感神経系が働き過ぎて、不動状態の副交感神経系に「切り替わる」ということが起こっています。フルアクセルから急ブレーキをかけるように、過緊張で頑張りすぎてその後電池切れのように無気力になります。

また、アクセルと急ブレーキを同時に踏んだ状態のように両方が過剰に稼働することもあります。筋肉に力が入らない一方で身体の一部分がこわばる、下痢と便秘を交互に繰り返す、などの相反する症状を同時に持つようになります。他にも偏頭痛、過敏性腸症候群、慢性疲労、線維筋痛症、自己免疫疾患などに苦しむ場合もあります。これらの症状は、2種類の神経が同時に活性化しているからです。

「高止まり」、「切り替わり」、「同時アクセル・急ブレーキ」は、健全な「自己調整」ではなくサバイバルの状態です。

防衛反応の場合、個人の全体で、 たたかう、逃げる、凍りつくなどの対処をしているということです。なので怖がっている、怒っている、症状にいつも苦しんでいる、などが個人のパターンとして一貫して現れます。

・防衛適応(パーツ)

防衛適応とは、個人が自分というものをバラバラに分けて、パーツ(部分)で対処しているという意味で著者はこの言葉を使っています。一般的にはちょっと難しくて「構造的解離」と呼ばれています。トラウマを受けると人は自分を守るために解離します。日常を送る自己と、サバイバル状態を担当している複数のパーツたちが稼働するサバイバル法です。

全体(防衛反応)とは、次のようなちがいがあります。
部分(防衛適応) での対処は、アタッチメント (愛着) にまつわる葛藤状況への妥協策です。みんな多かれ少なかれ、愛着対象が危険人物というパラドックスを背負って成長してきています。その際に、自分の全体で対応すると矛盾や葛藤に耐えられないため、自分を分断させて使うようになります。
たたかう、逃げる、凍りつく、明け渡す、助けを求めるといった本能的な防衛を自分と切り離して稼働させます。この特殊な能力は、その時に応じて妥協し生き抜くために個人を救い、折り合いをつけるという素晴らしい役割をはたしてきました。
しかし一方で、個人が一人の連続した存在であるという意識を持ちにくくさせてしまいます。このつながりのない意識の状態、統合を欠いた状態を断片化 (パーツに切り離して対処する) と呼び、主に多重人格や離人感、感情のギャップ、ズレなどの問題を抱えます。

トラウマとは、「今」は必要ない・不適応になっている「防衛反応・適応」の組み合わせです。これは今現在では、エネルギーの無駄遣いをしている状態です。防衛反応・適応も当然な対処としてみなし、どの刺激や場面で、どのように防衛策を稼働させているかを予測し、調整へと戻っていくスキルを獲得していくというのがトラウマの癒やしの作業になります。

浸水からの沈没を防ぐために船には「水密隔壁」というものがありますが、それによってある部分が浸水し犠牲になっても全体が浸水することを防ぎ、船そのものが沈没しないような仕組みになっています。ある意味ACE体験下で育った子どもたちはこの「水密隔壁」がうまく機能しています。多重人格、離人、感覚・感情麻痺などはパーツに分かれることで、自分のある部分は犠牲になっても、自分そのものが沈没しないように生き抜いてきた証拠です。そうやって生き抜いてきたあなたのことを尊敬しています。

当時の船が沈没するような災害・事故・事件はもう終わりました。これからはあなたという船を修復する時間です。犠牲になった部屋も修復が必要です。そのためには「水密隔壁」をあけてあげる必要があります。何千というピースに分かれたパズルを一つの絵に仕上げるためにはまずどんなピースがあるのかを知っていく作業が必要で、それらを融合させ一つも欠けることなく統合させていくように、私たち自身も、どのパーツも欠けることなく統合させることで自分という絵が出来上がります。

・アプローチ方法

調整ワーク
・トラウマに働きかけるための心身の状態を整える。
・発達性トラウマのために欠けている神経基盤の構築をする。
・交感神経が活性化した後には、副交感神経系で落ち着く、というのを継続して繰り返せるようにする。
・自分の反応を観察、俯瞰できるようになることを目指す。

解決・変容ワーク
・反応を俯瞰できることがある程度可能になり、サバイバルの状態が統制できるようになったら、トラウマの記憶や症状に働きかけ、反復されてきた過去の反応を変化させる。
・トリガー(引き金)に対し、今、ここに根差した反応が可能になることを目標とする。
・原因や記憶を掘り起こす作業ではなく、現在、何にどう苦しんでいるか、を探るなかで過去の名残を見出し、変化させていく。
・過去の傷ついた子どもと今の自分との関係を良好にする。
・防衛反応/適応も過去の子どもだった時の生存戦略であることを理解し、今はもっと負担が少ない洗練された対処方法を身につけることを目指す。

上記のアプローチ法が自律神経のバランスを整え(リソース構築)、パーツ心理学を通してトラウマによって解離してしまった感覚や感情、パーツを統合させていく内容になっています。

これから、自分への共感 (self-compassion) がしやすくなるための情報やコツを紹介していきます。

癒しに必要な3つの要素

著者のメッセージをまとめた動画にもでてきましたが、トラウマから安全に癒やされていくためには「TKS(T: サーモスタット K:カンガルーS: スパークリング・炭酸水)」が必要になってきます。

ACE体験を持っている人は3つの「ない」を抱えている状態です。
神経系の基盤が「ない」、
連続した意識の自分が「ない」、
関係に安定性が「ない」

「生きやすさ、快適さ、気楽さ」への道のりは、この3つの「ない」を「ある」に変えていく作業になっていきます。過去の過酷な環境を生き延びるためには必要だった防衛策を解除していくのは、不安や恐怖が付きまといます。なので変化への抵抗が現れるのは当然です。気持ち的にもそうですし、身体に反応が出てくる方もいらっしゃいます。良くなってきたと思ってたのに治療を始める前よりも悪くなったように感じることもあります。

著者のメッセージに出てきた、癒やしに役立つTKS を思い出して、少しずつ神経系に働きかけながら、3つの「ない」を「ある」に変えていきましょう^^

T: サーモスタット機能:過低覚醒の両方を調整。過覚醒(過緊張、多動、易刺激性)と低覚醒(うつや虚脱、疲労)を緩和できるように他者と安心してつながる腹側迷走神経系と消化・休息の背側迷走神経系が基盤としてあるようになること。

K:カンガルー:自分の内面に安定型愛着関係がつくられていること。カンガルーの親も子も両方内面にいる状態。何かあったら、自分のなかの強化された自己(カンガルーの親)から子どものパーツたちになぐさめや励ましが届く状態。

S:スパークリング・炭酸水:サバイバルのエネルギーを安全に解放し、閉じ込められている防衛反応を完了させること。パニック、緊張、 怒りなどの高覚醒の揮発性や、うつや虚脱、遮断などの低覚醒が神経系に残存していない状態になること。

このTKSの3つがバランスよく行われることで、癒やしが安全に効率よく進んでいきます。内面の断片化(構造的解離) による防衛適応は今まで自分を守るために時間をかけて構築されていったシステムなので、簡単にはいきません。身体の歪みや凝りのように一瞬でパーフェクトな状態にならないのと同じです。アップデートしていくには時間がかかります。なので、時間はかかるものだと言い聞かせて「癒す時間」をとっていきましょう。
まず今回はTKSのうちサーモスタット機能について取り上げていきます。

サーモスタット機能(過・低覚醒の調整)

ここで目指すのは自律神経のバランスを整えるということです。ACE体験がある人の多くは緊張状態の中、幼少期を送っているので、デフォルトがファイトモード、過覚醒状態になっていることが多いです。
そのため、副交感神経の働きをよくさせることが必要になってきます。副交感神経には2種類ありますが、その一つであるつながりの神経がうまく作動できるようになるとたくさん良いことがあります。
(このリラックスするためのスキルは「フラッシュバックを減らす:「リラックスする」スキル」でも実際的な方法を取り上げていますので、自律神経の乱れを感じている方はそちらも参考にしてみてください^^)

だれかとの(ペットも含む)つながりで心身が安心の状態にあると、内分泌系、免疫系の機能が良好になり炎症や痛みも改善されるそうです。しかし、ACE体験のもとで育ち、発達性トラウマを抱えている人の中には、この「安心のセンサー」がうまく作動してくれないことがあります。
状況が大丈夫でもセンサーが誤作動して危険信号を発し続けたり、逆にセンサーが全く反応しないため脅威を感じず事故や事件に巻き込まれてしまうというケースがあります。
「安心のセンサー」が正常に機能するように何をしたらいいでしょうか?まずは支援者がどんなことをできるかみていきましょう。

・「安心のセンサーをインストールする」ー支援者編

1. まずは、支援者が自身の防衛に気づく
普通は目の前の人がサバイバル状態、防衛反応を示すと自分もつられてしまいます。しかし、「安心のセンサー」をインストールしてもらうためには、安心を感じていない人に安心を感じてもらう必要があります。なので、支援者側は相手の言動につられず安定・安心感を感じている状態、つまり本能と逆のことをしないといけません笑
まずは自分自身を観察することから始めて、相手の反応の影響を受けて、自分の筋肉の一部が固くなったり、呼吸や心拍が速くなっていないかに気づいたら、力を少し緩めたり、呼吸を整えたりしてみて、自分自身の安心を再起動させてあげます。

2.相手の話していることに共感を示す
基本は「あなたのことを見ています、あなたのことを聴いています、そして、あなたのことを信じています」というメッセージが伝わるような仕方で会話・コミュニケーションをとるようにします。
このコミュニケーションをとっている間も、聴き手は自分自身の状態を観察して、自身の防衛状態に気づいたら、それを少しゆるませてあげます。そして、カウンセリングでよく使われるテクニックの一つ「オウム返し」をすることで相手の自律神経のバランスを整えていきます。
人と一緒にいて落ち着く・安心できるという感覚を持ってもらえたら、つながりの神経である腹側迷走神経がうまく機能しだすようになります。

この神経の話を改めて考えているとなるほどなーと思うことがあります。袋菓子をパーティー開けしてみんなで食べていると会話が弾みますが、副交感神経の2つの神経、休息と消化を担当する背側迷走神経、つながりを担当する腹側迷走神経この両方の神経がどちらもうまく機能するためリラックスして色々話せる時間になるのかなと思いました。逆に、ご飯中の雰囲気が険悪で罵声が飛び交っていたり、落ち着かない環境であれば副交感神経が働く出番の時に交感神経が優位になる(ブレーキを踏みながらアクセルも踏んでる状態)ので、自律神経が乱れて消化不良を起こすのは当然ですよね。子どもの頃のご飯を食べてる最中の腹痛の原因がこれだったのかーとちょっと納得しました。
家庭でご飯をみんなで食べる時の雰囲気ってめっちゃ大事ですね。。

幼少期にブレーキとアクセルを同時に踏まないといけない環境で育った人の場合は、副交感神経の、休息と消化を担当する背側迷走神経、つながりを担当する腹側迷走神経、2種類の副交感神経を同時に作動させるのが難しい環境だったので、最初は、休息と消化を担当する背側迷走神経に絞ってトレーニングすることをおすすめします。

3. ニューロセプションをチェックする
ニューロセプションとは、身のまわりで起こっている出来事や、今いる場所、向き合っている相手など、自身を取り巻く環境や状況、体験していることを安全であると感じているかどうかということです。シンプルにいうと安心の状態にいるサインです。実際次のようなサインがあります。
・血色がよくなる
・呼吸が穏やかになる
・硬さが和らぎ、 緊張が少し緩む
・表情が出てくる
・声に抑揚がついてくる
・(興奮、緊張による活性化ではなく) 活力が戻る
・今ここに集中できてくる
・姿勢が重力に従ったようになる
・応答が自発的になる など

4. 心地よい内受容感覚を感じてもらう
3が充実してきたら身体感覚を「感じてみる」ということを少しやっていきます。(身体感覚を感じる=自律神経系を感じる。)
1秒でも2秒でもOKです。自律神経系の心地よい「内受容感覚」を感じてみます。不快な感覚に突入したり、身体感覚が麻痺して感じられなくなる手前で次の5に移ることがポイントです。著者のメッセージでもあったようにちょっとやったらおしまいです。そうやって「あ、いいかも」っていう感覚を味わえるタイムをちょっとずつ伸ばしていきます。

5. 外受容感覚を働かせる
心地よい内受容感覚につながれたら、視覚を使って周りを見回したり(オリエンティング)、ノイズの少ない環境で何となく聞こえてくる周囲の音を聞いてもらって聴覚を働かせたり、クッションなどに触れて触覚を使ってもらうなど、外受容感覚である五感を通して外側の環境とつながってもらいます。

1〜4は、会話や手を動かす編み物などの作業をしながらやったり、感じたものを色や形、イメージで表現してもらうのもアリです。そうすると拡張と収縮のリズムが定着してきます。

ー自分でできる編: 日常のなかでできること
5分で簡単セルフタッチ 大体各1、2分ずつ
①「腹側迷走神経系」を整える〜5つの動作

② 「背側迷走神経系」 を整える

子どもとならにらめっこ、変顔遊びや手遊び・あやとりなど、調子やタイミングを相手と合わせながらやるものはつながりの神経系を鍛えるようにできているので取り入れてみるのもいいですね。

・背側迷走神経系(不動状態)に落ち込むパターンを改善する

乳幼児は不快になったとき協働調整が得られないと、「極度の温存状態」 の背側迷走神経系を使って交感神経系の高い活性化を何とか食い止めようとします。誰も抱っこしてあやしたり、なだめたりしてくれないと、自分の使える神経を使って不快な感覚を解消しようします。
極度の温存状態に入ると泣きも騒ぎもしないので、「育てやすい大人しい子」と思われるかもしれません。

しかし、これが大人になるにしたがって、パニックや激しい怒りのような高い交感神経から極度の温存状態の無感覚無気力といった背側迷走神経へ切り替わることもあれば、強烈な交感神経のたたかう・逃げる反応を封じ込めようと同時に急ブレーキを踏みこむこともある、といったかなりアップダウンの激しい使い方へとパターン化します。

慢性疲労やうつを抱えている方の幼少期の話を聞くと、「育てやすい大人しい子だった」と言われる方が多いのもうなづけます。
この神経系のクセを改善するためには、極度の温存状態(凍りつき)に入り込む時間を少しずつ減らしていくのを試みるのは効果的です。
人のいるカフェにいったり、ハミングしたり、人の声の抑揚ある音楽や漫才などを聴いてみたり。誰かと「がっつりかかわっているわけではない」けれども、極度の温存モードで虚脱してもいない状態を神経系に覚えていってもらうことができます。

まずは同じ副交感性の神経でも、落ち込みや疲労の「背側迷走神経系の極度の温存モード」と、安心して落ち着いている「背側迷走神経系の休息・消化モード、もしくは腹側迷走神経系のつながりモード」のちがいを区別できるというのが目標です。
極度の温存モードが必要なのは命にかかわる危険のときです。それ以外の時は、休息・消化モードか、もし使えれば、つながりの神経でいるのが身体にもやさしいです。ベタ踏みアクセルと急ブレーキの繰り返し・もしくは同時踏みではなく、エンジンブレーキをうまく使えるようになる感じです。

自分の覚醒レベルの違いを区別するためにできるトレーニングの一つでおすすめなのは、自分の覚醒レベルをできれば毎日記録につけていく方法です。ノートを一冊用意していただいて、下のようなグラフをつけていきます。一例として「歯医者に行った日」の覚醒レベルを数値化したものをのせています。

100が交感神経MAXの過緊張で闘う・逃げるモードです。0が副交感神経MAXのシャットダウン状態、解離や極度の温存モードです。理想は50前後でうまくエンジンブレーキがかかっている状態、人と関わっていても無理してないけどやる気もある状態をキープできるようになることです。
まずは自分の覚醒レベルを知って、どういう時に過緊張になり、どういう時にシャットダウンに入るのかを観察していきます。そのうえで上記で挙げている方法や「フラッシュバックを減らす:「リラックスする」スキル」で扱った方法の中で自分が続けてやれるものを選んで試してみて自分の覚醒レベルがどう反応するのか観察してみます。実際にやってみたいという方は詳しくお伝えしますのでいつでもご連絡ください^^

「いごこちのよさ」を獲得する旅

トラウマを克服していくプロセスは旅のようなものです。自分で気づいて癒され「いごこちのよさ」を獲得していく過程になっていきます。自分の自律神経系のクセを知り、自分に思いやりや共感をたくさん育んでいく旅路をあきらめずに一緒に歩んでいきましょう^^

私も以前はアクセル全開で、いろんな人と会って活動しすぎてエネルギー切れになって、そのあとは思いっきり急ブレーキをかけて、誰とも会わないという100か0で動いてる時期がありました。今はだいぶ自分のことを俯瞰して観察できるようになりました。私の場合は身体の筋肉の硬直具合や、呼吸の浅さで過覚醒モードに入ってるかどうかがわかりやすいです。

過覚醒モードに入りやすい空間や活動内容も大体把握しているので、警戒モードを解くためのゆったり系の音楽を流したり、面白いバラエティ番組を見て思いっきし笑ってみたり、好きな飲み物や、触り心地のいい服を着たりクッションを持参するようにします。
定期的に自然やカフェに行ってぼーっとする時間を取るようにするとうまくエンジンブレーキが使えるようになって、人間アレルギーもだいぶ改善されるようになってきました笑。

毎年恒例になってきている夏の登山も私のサーモスタット機能を調整する良い機会になっています。今年は富山の立山に行ってきたので最後にその映像をあなたに贈ります。次回は炭酸水とカンガルーについて考えますのでお楽しみに^^

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