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ストレスをエネルギーにできる人とそうでない人の違い

「柳に風折れなし」

強風のようなストレスを受けても柳のように「ふらつき」を持つ人たちは、辛いことがあってもふらつきながらも倒れずに持ち堪える回復力を持っています。

なにくそ精神があれば人はストレスに立ち向かえ、マイナスのエネルギーをプラスに変えれる。世の中には自分より大変な人が頑張っている。走っている時に、躓かされて転んで、いつまでも起きずに痛がってる人は、ハングリー精神が足りないんだ。こかされようが、痛かろうが、地面に這いつくばったままの自分は恥ずかしくないか?なにがなんでも起きないと!そう自分に言い聞かせて人生を送ってきましたが、小児期トラウマがもたらす病の3章を読むと自分に対してふり続けた鞭を下ろすことができた気がします。

ストレスの種類

この世に存在するストレスはすべてが悪ではなく、「標準的な」ストレスは自分自身を落ち着かせたり、立ち直り、回復力を身につけることを学ぶことができます。「可愛い子には旅をさせよ」ともいうように、知らないこと、うまくいかないことを経験すると自分で物事を深く考え解決していく能力を磨くことができます。

ここでいうストレスは「デフォルトが戦闘態勢の子どもたち」の記事の中でも取り上げた予測不能な慢性有害ストレス(CUTS)についてです。特定の子どもたちがCUTSの影響を受ける要因について小児期トラウマがもたらす病の著者は「秘密の代償」と表現しています。

「母はよく『世間は私たちの敵』だと言っていました。そのことは2人だけの秘密、どんなにまともじゃなくても人に言ってはいけないことだった。そのせいで、あらゆる意味で本当の敵は母だということに長いあいだ気づきませんでした」ローラ

「この大きな恥ずべき秘密を抱えるようになりました。本当に、私には母親がいなかった。一度として。心の底では何かがおかしいと気づいていたんです。他の子と違って誰からも愛されていないことが恥ずかしくてたまらなかった。自分がそれほどかわいくないのだと。」プリシラ

出典:小児期トラウマがもたらす病

ACEの多くは密室で起き、その結果、問題が発覚するまで時間がかかり、その長い時間を経て子どもは悪いことが起きているのは自分のせいだと思い込むようになり、助けやサポート求めにくくなります。

児童発達研究所によれば、「適切な大人のサポートの有無、ストレス要因の期間や内容によって、小児期のストレスが耐えられるものか有害なものかの判断が大きく変わる」そうです。子どもに「あなたのせいではない」とはっきり言ってくれる信頼できる大人がいると、子どもは自分の抱えているストレスの意味を理解するチャンスが広がります。たとえ長い年月が経ったとしても、順応性と柔軟性に優れた脳は回復力を高めることができるので諦めないでください。

遺伝子の種類によって逆境に対しての反応が変わる

今回私がこの本を読んでいて一番の発見は、逆境経験の影響を色濃く受けて深く傷つく人と、痛手をあまり負わない人がいるのが、どんな遺伝子を持っているかに関係があるということです。

セロトニントランスポーター(不安遺伝子)

精神的なトラウマや苦痛から立ち直るのに必要な幸せホルモンとも言われるセロトニンの量を調節するセロトニントランスポーター遺伝子というものが存在します。セロトニンはリサイクルされていて、再回収しているのがこのセロトニントランスポーターです。トランスポーターというとジェイソン・ステイサムが出演しているプロの運び屋をテーマにしたカーアクション映画を思い出しますが(笑)、セロトニンの運び屋の能力を決めるそんな遺伝子でしょうか。セロトニンを多く作るL型と、少なく作るS型があります。遺伝子の型はSS型,SL型,LL型の3種類の組み合わせがあります。

・SS型・・・日常の出来事に敏感に反応しやすいタイプ。ストレスの多い出来事が起きると立ち直るのに時間を要する。影響を受けやすいメリットとして、愛情を十分に感じるとより良い人生を送れる。日本人の多くはこの遺伝子を持つと言われている。

・SL型・・・影響をあまり受けないタイプ。

・LL型・・・セロトニンの多い人。逆境から立ち直る能力が強く、回復もはやいタイプ。L型を持つ人の割合は人種により異なり、アフリカ人>アメリカ人>アジア人

SS型の遺伝子をもった子どもが逆境を経験すると、成人後にうつ病にかかる確率が極めて高くなります。「人よりも何かがよく見えたり、より多くを察したり、理解したり、感じたりする」彼らはより深い苦しみを感じます。

しかし興味深いことに、彼らの影響を受けやすい特質は弱点だけでなく、長所にもなるんです!

「敏感な子ども」が周囲に支えられて成長すれば、成人してもうつ病の傾向はほとんど見られず、LL型の不安遺伝子を持つ人よりも発症の確率は低くなる。それどころか、積極的で前向きな性格で健康に過ごす人も多い。小児期に苦しみを経験したとしても、成人後も柔軟性を維持し、周囲の影響を受けつづける。つまり、大人になってからでも変わることができるのだ。子供の頃に何が起きたか、どれだけ感受性が鋭いかということは関係ない。脳のリハビリを開始し、ストレス反応のレベルを下げれば、変われるチャンスはいくらでもある。 出典:小児期トラウマがもたらす病

「ストレス」というものに対しての捉え方

スタンフォード大学の心理学者マクゴニカルによる興味深い研究で、「多くのストレスを経験していても健康を損なうと考えていない人の死亡リスクは高くなかった」ことがわかっています。つまり、健康に悪影響を及ぼすのは、どんなストレスになる出来事を経験したかではなく、ストレスに対する自分の反応だということです。ストレス反応の役割が行動を起こしたり、助けを求めたりする必要があるサインだと知っているなら、自分を気遣ってくれる人にサポートを求めることができます。

「愛情ホルモン」とも言われるオキシトシンはストレスの影響から体を守ってくれますが、このオキシトシンは触れ合った時だけでなく、親しい人の声を聞くだけでも出るそうです。

同じ環境で育っても、たとえ兄弟でも逆境への反応の仕方は全く異なる。「ふらつく」ことができずに倒れてしまうのはその人の弱さでも、甘えでもない。そして、どんな遺伝子を持っていたとしても、たとえセロトニンの運び屋さんが人より少なくても、心を開ける信頼できる人が1人でもいるならあなたは大丈夫です。もし、まだそんな人に出会えてなくても、大丈夫です。動物でも、2次元の世界でも、あなたがイメージするだけでほっこりできるものを一つずつ見つけていきましょう。「あなたのせいではなかった」「私に出会うまで生き続けてくれてありがとう」そう言ってくれる人に出会えるまで一緒にあなた自身にそう語り続けましょう。

 

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