ー5度の世界へ届けるキミへのメッセージ
雪の結晶は同じ条件でも一つ一つが微妙に違っていて、“No two are alike”「二つとして同じものはない」と言われています。
「雪の結晶」と言われて私たちが普段思い描く6角形の代表的なパターンのひとつである”樹枝六花”は中心の小さな核から、細長い「枝」が伸びているのでこの名前が付いているそうです。雲の水蒸気の量が多く、気温が-15℃前後のときに「枝」がよく伸びるためこのような形へと成長していきます。
雪の結晶のベースは小さな六角形で風に吹き上げられながら落下し、いろんな雲の中を通り抜けて地上への旅をします。
その旅の中、気温と湿度によって枝が伸びるか、板が発達するかが決まっていきます。水蒸気が多く、温度が-15℃前後だと、枝が発達しやすくなります。それより少し温度が低いか、または少し高い状態だと、板が発達しやすくなります。逆に水蒸気の量が少ないと、成長がゆっくりになり、多くは六角柱そのものが成長します。六角柱は、-4℃以上で平面方向(平べったい)、-4~-10℃で長軸方向(細長い)、-10~-22℃でまた平面方向、-22℃以下ではまた長軸方向に成長するという法則があります。
つまり、雪の結晶の赤ちゃんが生まれ育った上空がずっと-22℃以下だった場合、六角柱がすごく長くなり、柱や針のような形になります。赤ちゃん結晶が大きく成長した後でも地上へ降りてくる旅の途中で分解したり、一部だけこわれたりすることもあります。私たちが目にする結晶がどれ一つとっても同じ形がない唯一無二なのはそういう理由だそうです。
溶けることなく地上に降り立った雪の結晶を観察しやすいのは地上が-5度以下と言われています。実際に先日東北を旅する中、綺麗な結晶が見れた時に温度を見るとちょうど-5度でした^^
「雪は天から送られた手紙である」― 雪に魅せられ、世界で初めて人工雪を作ることに成功した中谷宇吉郎博士はこんな言葉を残しています。
雪の結晶の形によってその結晶がどんな空の状況下で育ってきたかが想像できるように、私たち人間も、人それぞれ思考や行動パターン、視線や身体・筋肉の使い方、身体の傷跡などである程度どんな背景で育ち生き抜いてきたかを想像することができます。
傷跡一つでも私たちそれぞれの存在が誰ともカブることのないオリジナリティに溢れた存在である証拠の一つとも言えます。
厳しい寒さの中でしか生まれることのない美しさは自然の中でも人生の中でも共通する貴重なものだなーと改めて感じました。
そう雪の結晶のようにみんな違って美しい!
“We are like a snowflake, all different in our own beautiful way.”
今回は雪の結晶目線でのストーリーになっています^^
ぼくらは雲の中で年中待機している
神さまからのゴーサインが出た時にやっと出番がくる
きみの世界がー5度になる時
きみまでの距離 気温 水蒸気の量
それらが融合して
ぼくだけの唯一無二のメッセージを形作る
小さな身体に重たい荷物を一人で背負い込んで
ここまで歩いてきたきみを
雲の中から見守っていた
ボロボロになっても 耐えて我慢して
本当は折れちゃいそうなほど弱いのに
誰にも弱音吐けずに
ずっと強いフリをするきみが
いじらしい
必ずしもぼくがきみに届くとは限らない
それでもパラシュートを開いて雲の中から飛び出す
地上に着くまでの
長い長い距離を飛行する中
いろんな刺激を受けながら変身していく
凍えるほどの寒さがきみの瞳に映る確率をあげる
この旅を経験したものだけが手に入れる
神さまにもらえる唯一無二の結晶
過酷な旅を歩んできたきみが
どれだけ美しいか 愛おしいか
この世界でたった一人の貴重な人なのか
天からのメッセージを全身で伝えられるカタチを手にする
“No two are alike.”
きみの心が凍えるほど冷えた時
ぼくたちは地上に降り立つ
きみが笑顔になるまで
一つでもいいから空からの手紙がきみに届くまで
ぼくらの旅はつづく
“You are like us (snowflake)”
“All different in our own beautiful way.”