私たちが抱える「障害」は「弱さ」の証ではない
生きるために身につけた特殊能力
・海馬ー最も影響を受ける
・視覚野ー性的虐待・両親の家庭内暴力を目撃して育った子どもたち
・聴覚野ー日常的に言葉による暴力を受けて育った子どもたち
・前頭前野ー身体的な暴力を受けた子どもたち
・左半球と右半球のバランスに違いー左半球の脳の発達に遅れ
「大脳の左半球は言語を理解したり表現したりするのに使われる。一方、右半球は空間情報の処理や情動、特に否定的な情動の処理や表現を主にしている」ー出典:「いやされない傷」
私たちの身体は、自分が今どこにいて敵はどこにいるのかを判断するために必要な空間処理、自分を日々苦しめる感情の処理など、自分を守るために必要な分野を機能させ、それ以外の言語を理解したり、詳細を認知したり記憶することで、心身に悪影響があったり、それを解決するためにカラダがする仕事量が増える場合、それらの機能を縮小させることで生き残る道を切り開いてきたことが分かります。それらは過酷な状況でも生き延びるために身についた特殊能力のようです。
勇気と強さの証
子ども時代の私たちが生き残るために何を手放し、残したのか、そんな勇気ある選択をずっとし続けてきてくれたことを私たちに教えてくれているのが、解離についてわかりやすく描かれている絵本「私の中のすべての色たち」です。
自分が弱いとか、変だとか、何か間違ったことをしたから解離するということはないということを、いつも忘れないでいてください。それどころか、勇敢で、勇気があって、心の中にヒーローがいるから解離するのです!!! ー出典:「私の中のすべての色たち」
「子どもは生き延びるために解離するし、これまでも解離してきたのです。実はそれは勇気と強さの証なのです」ー出典:「私の中のすべての色たち」
色を失ってしまうことはありません。色たちは手を取り合って一緒に活動することができるので、子どもはちゃんと自分の心の中の虹を感じることができるようになるのです。ー出典:「私の中のすべての色たち」
虹色の色鉛筆たちとの再会方法
そのためには安全な場所ーあなたにとっての安全基地を見つけるところから始めてみましょう。
安全な場所が確保できたら、今度はあなたが救った色たちとの再会です。
再会するためにはいろんな方法がありますが、私がよかった再会方法でスキーマ療法というものがあります。「スキーマ療法」は私自身専門にしている認知行動療法の発展型とも言われていて、自分自身の根っこの部分を理解して、生きづらさの原因になっているものを手放し、新しい体験に変えていきます。
認知行動療法の領域における第一人者の一人、伊藤先生はスキーマ療法を「ニキビを治すのではなく、ニキビのできやすい体質を改善する療法」と解説しています。「認知行動療法は浅いところを潜るシュノーケリング、スキーマ療法は安全装置をたくさんつけて深く潜るスキューバダイビング」とも例えられています。
「スキーマ療法」は深いところを潜っていくので、当然苦しくなります。自分で取り組めるワークブックがありますが、まずは安全基地を確保して苦しくなった時に対応できるようにしておく必要があります。ダイビングも初めていく場所や不慣れな場合、難関な場所を潜る場合はガイドの人や一緒に潜ってくれるバディがいると心強いですよね。
あなたにとって安全基地となれる人が身近にいるのなら、どうか一人では潜らずに頼ってください。きっとその人は、あなたがもし苦しくなって沈みそうになった時に、一緒に浮上して息をつけるように助けてくれます。息がつけたらまた一緒に潜ってくれます。潜ったその先の世界では深い闇で何も見えないように感じ怖くなる時もあります。でもあなたにはすぐそばにバディがいます。ライトを照らし岩にぶつからないようにガイドし、色とりどりの魚や珊瑚礁の存在に目を向けさせてくれます。あなた自身の色鮮やかな虹色の色鉛筆たちの存在を一緒に見つけてくれるはずです。
解離をはじめ日常生活に破壊的な影響を及ぼす症状を抱えていると、生きる喜びを感じられずゾンビのようになっていることもあります。周りと比べてあまりの自分のダメさに嫌気が差す時もあると思います。
そんな時に思い出したいのが、「普通」じゃないから悪いわけでも、ダメなわけでもなく、それは受けたトラウマの大きさを物語っているわけで、その症状は私たち自身を守るために生まれた「勇気と強さの証」であるということです!
もし子どものころの「私」が勇敢な決断をしてくれていなかったなら、今頃自分は船と一緒に海の底に沈んでいてこの世界に存在していないんだろうなと思います。
なので、弱いわけでもおかしいわけでもなくて、私たちのカラダは私たちを守るために一番いい方法で行動してくれていたことがわかると、子どもの頃の私たちはなんて勇敢だったんだろうと心から尊敬しますし、愛おしくも思えてきます。
もしあなたが抱えている障害や受けた傷、背負った過去を恥だと思い自己嫌悪に陥るときがあるなら、どうか思い出して自分に言い聞かせてください。
勇敢で、勇気があって、心の中に(あなたという)ヒーローがいたから、今あなたはここにいるということを。
私はそんな勇敢でずっと戦ってきた戦友のようなあなたのことを心から誇りに思います!