自分も周りもOKだと教えてくれる絵本ー『フレデリック』

人生の中で真冬のように思える時期の過ごし方をわたしの好きなキャラクター、フレデリックから学べることがあったのでシェアさせてください^^
フレデリックは「スイミー」などで有名な絵本作家レオ・レオニの絵本『フレデリックーちょっとかわったのねずみのはなし』に登場する主人公です。
ここからは一部内容を挟むので絵本を先に読みたい方は一度中断してくださいね^^

この絵本に出てくる野ねずみはフレデリック以外に4匹いて合計5匹登場します。
冬籠りをするためにまわりがあくせく食料を運んで働いている中、フレデリックひとりだけじっとしていました。
ぼーっとしてなにもしていないかのように見えるフレデリックに対しまわりの子たちから「フレデリック、どうして きみは はたらかないの?」と聞かれます。
それの対しフレデリックは「こうみえたって、はたらいているよ。」
と答え、寒くて暗い冬のために、おひさまの光を集めているんだとちょっとナゾなことを言います。
他の4匹の野ねずみたちが一生懸命食料やわらを集めている中、フレデリックはひとりみんなと違う行動をしていて、「光」「色」「言葉」を集めていきます。
そして冬に突入し最初は楽しく過ごしていた野ねずみたちですが、だんだん食料や温まるためのわらもなくなりあまりの寒さに元気がなくなった頃、仲間たちはフレデリックが集めていたものを思い出しそれらがどうなったかをたずねます。

「めを つむって ごらん。」フレデリックはそう言うと、みんなの瞼の裏にあるおひさまの光を感じるように語りかけた。すると不思議なことに、4匹ののねずみたちは、だんだんと暖かくなってきたような気がした。

ー出典:フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし

フレデリックが今まで観察して蓄えてきたいろんな景色を仲間たちに話しだすと、みんなの冷え切った心はだんだん暖かくなり、最後に詩人フレデリックが紡ぎ出す言葉に勇気づけられていきます。
この絵本は、いろんなことを教えてくれます。
私が感じた一つのポイントは、パンデミックの中での生活や病気、ビジネスがうまくいかない時期などまるで長い冬のような時期には、食料やワラのような生活必需品はもちろん大切ですが、フレデリックが集めていた心を温めるイメージや言葉といった辛い状況でも前向きにさせてくれる考え方も、長い冬のような状況を耐え忍ぶのにとても大切なものだということです。

二つ目のポイントは、フレデリックが怠けているように周りから見られていたように、周りと違う時間軸で生きているかのように感じる時、物事がうまく進まず全てがスローで流れているかのように見える時、自分は頑張っているのにそれが周りからは認識されていないように感じる時、実はその期間私たちが経験していることが、フレデリックが集めた「光や色」のように後々自分やだれかの心を温めるものに変わる可能性があるということです。そう思うと「今経験していること」を味わって大切にしていきたくなります。
個人的に一番心にタッチした最後のポイントですが、フレデリックが集めた「言葉」からご紹介します。
「三がつに、だれが こおりを とかすの?
六がつに、だれが 四つばの クローバーを そだてるの?
ゆうぐれに、だれが そらの あかりを けすの?
だれが つきの スイッチを いれるの?
それは、そらに すんでる 四ひきの ちいさな のねずみ。
ぼくと きみ そっくりの。
はるねずみ、ゆうだちを ふらせる かかり。
なつねずみ、はなに いろを ぬる かかり。
あきねずみ、くるみと こむぎの かかり。そして
さいごは ふゆねずみ、ちいさな つめたい あし してる。
きせつが 四つで よかったね。
一つ へったら どう なる ことか。
一つ ふえ たら どう なる ことか!」

私はこれを読んだ時最初はよくわからなかったのですが、登場してきた野ねずみがフレデリックと合わせて5匹いたことを思い出してなんとなく腑に落ちました。
フレデリックはぼーとしているように見えて、自分が大切だと思うことをやりながらも、実はみんながどんなふうに働いているか観察していました。
彼は自分自身がやっていることに誇りを持っていましたが、それと同時にまわりの仲間たちが存在してくれているおかげで自分が生きていることを実感していました。
フレデリックはこの詩をみんなの前で披露した時に、一人ひとりの目線に立って自分以外の4匹の野ねずみを4つの季節にたとえてそれぞれがだれひとり欠けてはいけない大切な存在であることをみんなに気づいてもらえるように冬までの長い時間自分も含め周りの存在のありがたさを感じながら時間を過ごしていたのかと考えると、「フレデリックめちゃくちゃカッコいい!!!」と思い、改めて彼の生き方が好きになりました。

心理学のひとつの理論で

「I am OK, you are OK.」

というのがありますが、自分も相手も尊重して肯定する考え方をするためにはフレデリックのようにすぐにジャッジせずに観察ーモニタリングすることが大事なのかなと思います。それぞれの季節に役割があって違うように自分も周りの人たちもみんな違って当然でそれぞれに役割があることをいつも思い出したいものです。
そして1人では生き残ることのできない冬もみんながいることで冬を越せることを。。

今年も一年いろんなことがありましたが、自分自身の生き方も大事にしつつ、周りの存在のあたたかさにも敏感に気づくことができるような時間を過ごしながら新しい一年を迎えられますように。。

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