桜が教えてくれる、“がんばりすぎない生き方”

最近なんだか体が重い、気分が乗らない、眠たい…そんな日が続いていませんか? 春になってこんなに暖かくて気持ち良いはずなのに、どうして体調がすぐれないんだろうって感じやすい時期ですよね。あなたはそういうとき、どんなふうに時間を過ごしますか?

わたしは今年、お花見に行く機会が多かったんですけど、桜が満開になるまで、ずっと準備の時間をかけていることを思い出して、なんだか感慨深く感じました。ご存知の方も多いかもしれませんが、桜って、去年の夏から秋にかけて花芽を育て、寒い冬を越えてからやっと花を咲かせるんです。桜も無理に咲こうとはしないんですよね。

その生き様から、「急いで花を咲かせなくていいんだな」「無理に頑張らなくても大丈夫だな」と改めて気づかされました。春の体調不良だって、もしかしたらその「準備期間」かもしれません。
日本人の多くは「もっと頑張らなきゃ」って思いがちですが、日本を代表する桜だって無理に咲こうとはしない。

桜のように、少しずつ自分を育てていくこと、がんばりすぎない生き方は、次のステップに進む力になると私は感じています。

だからこそ、今日は桜のように無理せず、でも確実に進んでいく生き方のヒントを一緒に考えてみたいと思います。未来の自分のためにも、がんばりすぎずに自分を大切にする時間が持てたら嬉しいです。

桜の花芽は、夏の終わりにもう生まれている

春に咲く桜は、前の年の夏の終わりには、すでに「花芽(はなめ)」をつけています。
けれどその姿は、私たちの目には小さすぎて見えません。木の枝先に、そっと眠るように芽は存在し、秋が過ぎ、冬の寒さの中でじっと耐え、ゆっくりと育っていきます。そしてようやく春、あの美しい花を咲かせます。

この桜の営みを知ったとき、私はふと、私たち人間の心も同じなんじゃないかと感じました。
外からは見えなくても、内側では確かに何かが育っている。
人には気づかれなくても、あなたはずっと頑張ってきた。
誰にも見えないところで、耐えたり、迷ったり、でもそれでも前に進もうとしている。
そんな時間が、きっとあったはずです。

たとえば、朝起きるのがつらい日があったかもしれません。
人と会話をするだけで、ものすごく疲れてしまう日もあったはず。
「なんで自分だけこんなにしんどいんだろう」
「みんなみたいに元気にできない自分は、だめなんじゃないか」
そんなふうに、自分を責めてしまうことも、きっとあったんじゃないかなと思います。

でも、思い出してみてください。
桜の花芽は、咲くまでに何ヶ月もの時間をかけています。
寒さにさらされながら、決して焦らず、でも確かに春に向けて備えている。
あなたが今感じている疲れや重さ、立ち止まりたくなる気持ちは、実は「咲くための準備期間」なのかもしれません。

「人知れず、見えないところで、ちゃんと育っているものがある」
これは桜の木にも、そして私たち一人ひとりにも、きっと当てはまること。
目に見える結果や成長ばかりがすべてではありません。
心の中で、まだ言葉にならない何かが、静かに息をしている。
痛みを抱えながらも、ちゃんと生きているあなたの中には、確かな芽が、もうすでに育ちはじめています。

だから、どうか自分を急かさないでください。
誰かと比べなくてもいい。
今はただ、自分の中の芽を信じて、静かに育ててあげてください。
見えないところで起きていることを、どうか見落とさないように。
あなたの中には、すでに咲く準備がはじまっているから。

桜の花芽は、寒さを知らなければ咲けない

桜の花は、春に一気に咲くように見えますが、夏の終わりにはすでに「花芽」ができています。
そのあと、じっと冬を越えてから、ようやく咲き始める。
この仕組みは「休眠打破」と呼ばれ、一定の寒さを経験しないと、花は咲かないようになっています。

わたしたちの心にも、これとよく似たことが起こります。
何もできないように感じる日々、うまく動けない朝。
「こんな自分はダメなんじゃないか」と責めたくなる日もあるかもしれません。

でも、その“動けなさ”の裏には、あなたの中で静かにがんばっている「あるパーツ(=心の一部)」が存在していることがあります。

パーツ心理学では、人の心には「いくつもの側面(パーツ)」があると考えます。
たとえば——
「もっとがんばらないと!」と鞭を打ってくるがんばり屋の司令官
いつもあなたを前に進ませようと、必死に指示を出し続けています。

そしてその一方で、何もしたくない、動きたくないと感じているのは、実は「怠けているから」ではなく、あなたの中にいる、傷ついたパーツが、今も静かに、でも必死に「冬を生きている」からかもしれません。

この子は、もしかしたら名前すらまだついていないかもしれないけれど、
人知れず深い痛みをくぐってきた「影の戦友」です。
怖い記憶、つらい体験、理解されなかった想い。
それらにもう二度と触れないように、あなたの心の奥で、じっと息をひそめている。

がんばり屋の司令官も、冬を生きているパーツも、どちらも“あなたのため”にいる。
どちらも、あなたの大切な一部です。
あなたがこれまでをなんとか生き抜くために、それぞれがそれぞれの方法でがんばってきました。

桜だって、ずっと何もしていないように見える冬の間に、着実に力をためています。
花を咲かせるためには、寒さがどうしても必要なのです。

だからもし今、動けない、前に進めないと感じていたとしても、その“冬”は、あなたにとって必要な時間かもしれません。
それは「サボっている」んじゃなくて、「力をためている」時間なのです。

どうか、がんばれないときのあなたにも、静かに敬意を向けてあげてください。
春が来れば、桜のように、あなたの中の小さな芽もきっと開きはじめます。
無理やり咲かせなくてもいい。
いまのあなたは、ちゃんと育っている途中です。

桜は、たくさんの助けで咲いている

桜が春に咲くとき、そこにはたくさんの支えがあります。
太陽の光、雨の恵み、地中の根や栄養、風や虫、土の中の菌たち…。
どれかひとつが欠けても、花はうまく咲けないかもしれません。

桜は「自分ひとりの力で」咲いているわけではない。
それは、私たち人間も同じです。

支えを受け取る練習は、「ちょっとだけ」がちょうどいい

「支えられてもいい」と頭でわかっても、実際に“頼る”って、すごく勇気がいります。
それはあなたの中にいろんなパーツがいるから。

ずっとがんばってきた「がんばり屋の司令官」は
「一人で何とかしないと」
「弱音を吐いたら、ダメになってしまう」
そうやって、誰にも迷惑をかけずに生きるよう指示を出して生きてきた。

心の奥で、小さくなって震えているそのパーツもいる。
「どうせ頼っても、わかってもらえない」
「“助けて”って言って、もし拒まれたら…」
ずっと「誰かに助けてほしい」と思いながら、言い出せずにいた小さなパーツがいることも多いです。

だから最初は、ほんの少しの練習からでOK。

たとえばこんなふうに:

  • 温かい飲みものを飲んで、「ありがとう」と自分に言ってみる

  • 誰かのやさしい言葉を聞いたとき、「うれしいな」と感じる自分を許してみる

  • 好きな音楽を流しながら、「これが私の栄養になる」と感じてみる

  • 気の置けない人に「最近ちょっとしんどくて…」と話してみる

それが、「受け取る」という感覚を取り戻す、小さな一歩です。
司令官の声が「それでいいのか?」とざわついても大丈夫。
「今日はちょっとだけ、支えられてみたいな」と伝えてみてください。
あなたの中の小さな子は、きっとほっとして、体の奥が少しゆるむかもしれません。

咲くには、たくさんの存在が必要

桜は、見えないたくさんの存在に支えられて咲いています。
あなたも同じ。
すべてを自分ひとりで抱え込まなくていい。
支えてくれる人、モノ、ことば、音、ぬくもり――
それらを、心の奥の小さなパーツたちと一緒に、すこしずつ受け取っていきましょう。

風まかせのスピードで生きてみる

桜の花びらがひらひらと落ちるとき、その動きには急ぎも焦りもありません。
風にそっと身をゆだね、自然に任せて静かに舞い降りていく。
抵抗せずに、流れに身を任せることが、桜がその美しさを見せる方法です。
どこに着地するかもわからないまま、それでも“今”を生きているように見えます。

私たちの人生にも、そんな時間があります。
「やろうと思っていたことができなかった」日。
「体が重くて、気分も沈んでいて、なにも手につかなかった」日。
そんな日は、自分が何もできていないように感じて、つい責めてしまうかもしれません。

あなたの中の「がんばり屋の司令官」が顔を出すかもしれません。
「もっと効率よく動かなきゃ」
「このままじゃダメになるよ」
「何もしないなんて時間の無駄だ」
そんなふうに、あなたをいつも前へ前へと押してきた声です。それは、あなたが倒れないように、崩れないように、守ってきてくれた大切な“心の一部(パーツ)”です。

でも、風まかせのスピードでしか動けない日もある。それを「停滞」や「失敗」と決めつけなくていいんです。むしろそのスピードだからこそ、見える景色があります。呼吸が少し深くなる瞬間や、空の色の微妙な変化、人のやさしさにふっと涙が出そうになる、そんな感受性。
それらは“ゆっくり進む時間”の中でしか育ちません。

「今日はこれしかできなかった」と感じる日があっても、それは「今日、ここまでたどり着いた」という印。
たくさんできなくても、ゼロじゃない。それだけでも、あなたはちゃんと今日を生きていたってことです。生きてるだけで100点満点です!

あなたのスピードで、あなたの歩幅でいきましょう。風まかせのように見えるその一日も、確かに、未来へつながっています。

……なんて書いてますが、私はハプニング大好き人間なので、「今日の風で生きる!明日は明日の風が吹くでしょ!」をモットーに、毎日ふらふら風にゆだねています笑
そんな私でも、ちゃんと生きてるので大丈夫。あなたの風が、やさしく吹きますように。。

咲くために、今日できることは、ほんの少しでいい

桜の咲き方は、毎年少しずつ違います。
去年と同じ木でも、咲く時期も、咲き方も違うのは、その年の気温や雨、風…
つまり「どんな環境だったか」によって、花の表情が変わるからです。

私たちの毎日も、同じです。
体調、心の調子、周囲との関係、その日の天気や月の満ち欠けさえ、あなたに影響を与えているかもしれません。

だから、「昨日できたことが今日はできなかった」としても、それは自然なこと。
「こうあるべき」という声が聞こえてきたら、
もしかしたら、それはあなたの中の「がんばり屋の司令官」かもしれません。
いつもあなたに鞭を打って、「ほら、もっと!」「ちゃんとやらなきゃ!」と指示を出してくる存在。

一方で、布団の中から出られない朝には、
「お布団戦士」が心の中で静かに戦っているかもしれません。
体は動けなくても、「今日もなんとか、生きよう」とがんばっている、小さな戦士。

外の世界が怖く感じる日には、
「小さな見張り番」が心のどこかでピリピリと見張っていることもあります。
「また傷つかないかな?」「怖いことが起きないかな?」と、ずっと警戒を続けてきた頼もしいパーツです。

そんなふうに、あなたの中にはいくつもの“戦友”がいて、
どんな日も、ちゃんとあなたを支えようとがんばってくれています。

だから、今日のあなたにできることが少しだけでも、十分すぎるほど価値がある。

☑ 朝、カーテンを開けて光を入れてみる
☑ 呼吸をひとつ、深くしてみる
☑ お茶をゆっくり飲んでみる
☑ 布団の中で「今日も生きててえらい」とつぶやく

そんな一つひとつが、あなたを咲かせる“根っこ”になります。

すぐに花は咲かなくても、その静かな積み重ねが、
あなたの土台をあたため、未来へとつながっていきます。

「今日も何もできなかった」と感じる日も、
実は心の中ではたくさんの戦いがあり、たくさんの種がまかれています。
あなたの中の小さなパーツたちに、やさしく「ありがとう」と声をかけてあげてください。

焦らなくていい。大丈夫。
あなたの季節に、あなたのペースで、ちゃんと咲けます。

あなたの「咲く」は、きっとやってくる

桜の開花時期は、木によって、場所によって、年によって、ほんとうに少しずつ違います。
誰かより早く咲いたからすごいわけじゃないし、遅いからだめなわけでもありません。
どの桜も、それぞれの春に、ちゃんと咲く。
つぼみのままの時間が長くても、それは咲くための準備をしているだけ。
見えないところで、静かに力を蓄えています。

あなたの花も、必ず咲きます。
まだ形になっていなくても、周りがまぶしく見えてしまっても、
そのままのあなたが、確かに春へと向かっています。

だからどうか、急がなくて大丈夫。
比べなくて、大丈夫。
そして何より、「咲かせなきゃ」と自分を責めたり、焦ったりしなくても、大丈夫です。

咲くことだけが「生きる」じゃない。
何もしていないように見える日も、じっとしている日も、
あなたの内側ではちゃんと、大切なプロセスが進んでいます。
そういう日々があるからこそ、
いつか花が咲くとき、きっと深くて、やさしくて、強い一輪になるのでしょう。

そして、そんな日々をいっしょに見守ってくれている「パーツたち」も、あなたの中にいます。

たとえば、朝どうしても起きられない日があるあなたのそばには、
「お布団戦士」が今日も小さな勇気をふりしぼっています。
まだ出発できないけれど、心の中ではいろんな気持ちとちゃんと向き合ってる、そんな存在です。

怖がりな「小さな見張り番」は、世界を警戒しながらあなたを守ってくれています。
「がんばり屋の司令官」は、静かに腕を組みながら「今は休んでもいいよ」とつぶやいてくれているかもしれません。

どんなあなたにも、ちゃんと理由があって、意味がある。
今、どこにも向かっていないように思える時間でさえ、
そのままのあなたを支える「根」を育てているのだと、私は信じています。

今年のお花見、私は「いるだけでただただ美しい存在」を全力で讃えながら、お酒片手に、愛でさせていただきました笑
誰かが見ていても、見ていなくても、
評価されても、されなくても、
風に揺れ、雨に濡れながら、ただそこに咲いている桜。

花は、「うまく咲かなきゃ」と焦ったりしないし、
「今日はちょっと失敗しちゃったな」なんて落ち込んだりもしません。
その日その日の空と風を受け止めながら、ただ生きています。
そんな姿に、私たちは毎年、勝手に励まされているのかもしれません。

あなたの春も、あなたのリズムで、きっとちゃんとやってきます。
今はゆっくりでも、立ち止まっているように思えても、ちゃんと進んでいます。

桜のように、来年また綺麗に咲くために、
今日から、自分を少しずつ育ててみませんか。
その日々が、あなたの内側の「根っこ」を、やさしく、たくましく支えてくれるはずです。

では最後に、今年の桜たちの姿をおすそわけします〜
画面越しでも、あなたの心に、ふわっと春の風が届きますように。

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