ストレスを癒やす鍵は、“好き”を見つけること

ー「好き」を深掘れば、自分をねぎらう力が育つ
あなたは最近、どんな「好き」を置き去りにしてきましたか?
仕事や家事、人との関わりの中で、気づけば自分の気持ちよりも「周りの期待」に応えることを優先してしまう。
「休むことに罪悪感がある」「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込んでしまう。
そんな毎日が続くと、心も体も少しずつ擦り減ってしまいます。
忙しい毎日を送っているので、なかなか気晴らしに旅行にも行けない。。
でも実は、ストレスを和らげる鍵はとても身近なところにあります。
それは「好き」に触れること。
「好き」を深掘ることで、自分が大切にしている価値観に気づき、頑張りすぎてきた自分をやさしくねぎらう力が育っていきます。
この記事では、脳科学・パーツ心理学の視点をまじえながら、「好き」をどう深掘ればストレスケアになるのかを一緒に探っていきましょう。

頑張りすぎの傾向と、「好き」が置き去りになる理由
頑張りすぎて疲れてしまう人は少なくありません。
常に時間に追われ、やることリストをこなしても「まだ足りない」と感じてしまう。
休日でさえ、何もしていないと落ち着かず「怠けているのでは」と罪悪感を覚える。
心理学ではこれを「過剰適応」と呼びます。
周囲の期待に応えることは素晴らしい力ですが、度が過ぎると 「自分の好き」よりも「人にどう見られるか」を優先してしまうクセ につながります。
幼いころから「120%頑張れば居場所ができる」「期待に応えなければ愛されない」と学んできた人ほど、この傾向が強まりやすいのです。
脳科学的に見ると、この状態ではストレスホルモンのコルチゾールが慢性的に分泌され、体が常に“戦闘モード”。
その結果、前頭前野(感情のコントロールや判断を担う部分)が疲弊し、「休む」「楽しむ」といった自己調整が難しくなってしまいます。
頑張りすぎ屋さんのサインチェックリスト
- 常に疲れている、やる気が出ない
- 休日に予定がないと不安になる
- 他人の評価や顔色を過剰に気にする
- 完璧主義で、自分のミスを許せない
- 休んでも心からリラックスできない
いくつ当てはまったでしょうか?
もし多く当てはまるなら、あなたの中の「がんばり屋さんパーツ」がずっとアクセルを踏み続けているサインかもしれません。
そして、がんばり屋さんが強く出ているときほど、他のパーツたちが大切にしている「好き」は押し込められてしまいます。
本当は「花を眺めたい」「音楽に浸りたい」「ただ散歩したい」──そんな小さな好きが、日常の中で後回しにされてしまうのです。
どうか忘れないでください。
「好き」はあなたが大切にする価値観を映し出す鏡であり、心を回復させるスイッチだということ。
置き去りにしたままでは、どれだけ休んでも心からの回復は訪れません。

好きは「価値観を映し出す鏡」
「好き」という気持ちは、ただの趣味や娯楽で終わるものではありません。
それはまるで鏡のように、あなたが大切にしてきた 価値観 を映し出してくれるものです。
好きなことをじっと覗き込むと、その奥に「あなたが本当に大事にしたいもの」が見えてきます。
例えば──
花が好き → 「自然とのつながり」「癒し」
音楽が好き → 「自己理解」「創造性」
散歩が好き → 「好奇心」「一人時間」
このように「好き」を深掘っていくと、自分の内側にあるニーズや価値観に気づくことができます。
心理学でも、人が心から満たされるのは「自律性」「有能感」「つながり」の3つが満たされているときだといわれています。
自律性:自分で選んでいる感覚 → 散歩や一人時間の「好き」
有能感:できている、役に立っている感覚 → 音楽や仕事での表現の「好き」
つながり:人や自然と結ばれている感覚 → 自然や誰かと一緒の時間の「好き」
つまり「好き」は、あなたがこの3つをどう育ててきたかを映す鏡なのです。
逆に言えば、「好き」を置き去りにすると自分のニーズや価値観を犠牲にすることになり、ストレスはどんどん積み重なります。
いくら休んでも「疲れが抜けない」と感じるのは、心の大事な栄養である「好き」が不足しているからかもしれません。
「好き」は頭で考えて探すよりも、感情や身体の反応から見つけやすいものです。
面白い、楽しい、ワクワクする、興味深い、安心する、居心地がいい、気持ちがいい──
そんな感情がふっと湧いた瞬間に、あなたの「好き」が隠れています。
さらに身体にもサインがあります。
肩の力が抜ける、胸が広がる、呼吸が深くなる、思わず笑顔になる…。
そうやって心と体が「これが今大事なんだよ」と教えてくれているのです。
パーツ心理学の視点から見ると、自分の中のいろんな自分(パーツ)ごとに必要とする「好き」は違って当然です。
自分の中のがんばり屋さんパーツは整ったスケジュールや達成感が「好き」であり、
自分の中の小さな子どもようなパーツは安心できる人との時間や遊びが「好き」です。
だからこそ、あなたが感じる「好き」は人と比べる必要はありません。
いろんな好きがあっていいし、その時々で変わっていくのも自然なことです。
だれかと一緒に騒ぎたい時もあれば、一人でのんびり過ごしたい時もある。
それは、あなたの中のそれぞれのパーツたちが今のあなたを守ろうとして送ってくれるメッセージだからです。
どうか忘れないでください。
あなたの「好き」は、心の中のパーツから届いたラブレター。
それを受け取るたびに、あなたは自分をねぎらい、整えていけるのです。

好きを深掘る3ステップ
ステップ1:「好き」に気づく
まずは、シンプルに「これ好きだな」と思えるものを書き出してみましょう。
大きなことじゃなくても構いません。
朝のコーヒータイム
雨音を聞く時間
柔らかい毛布にくるまる瞬間
アンティークな家具や雑貨
ちょっとした「好き」が入り口になります。
ここでは深く考えすぎず、心がふっと動いたことを挙げてみましょう。
ステップ2:理由を見つける
次に、その「好き」をなぜ好きなのかを考えてみます。
コーヒーを淹れる → 「時間の余裕、心のゆとり」
雨音 → 「落ち着いて内省できる」
毛布 → 「守られている感覚」
アンティーク → 「時間が経っても揺らがないものに触れる安心感や信頼感がある」
理由に目を向けることで、「好き」が価値観やニーズとつながっていることに気づけます。
ステップ3:コアバリューを特定する
ステップ1と2から、自分が大切にしている価値観(コアバリュー)を探してみましょう。
例えば
・安心感
・静けさ
・自由
・創造性
・信頼
これが、あなたの コアバリュー(中核的な価値観) です。
このコアバリューを日常生活の中で大事にできているかで、私たちの人生の満足度合いはかなり変わってきます。
「好きを深掘る」と、このコアバリューが浮かび上がり、自分をねぎらうためのキーワードになります。
見つけたコアバリューを、今の生活にどう取り入れるか考えてみると、“頑張りすぎ”のブレーキ役になってくれます。
では、実際に日常生活の中でコアバリューを大事にするにはどうしたらいいのでしょうか?

コアバリューを生活に取り入れる3つの工夫
① ルーティンをつくる
たとえば「静けさ」がコアバリューなら、朝の5分間スマホを見ずに静かに過ごす。
「安心感」が大切なら、お気に入りの香りや曲をいつでも使えるようにしておく。
ほんの数分でも、価値観に沿った習慣を日常に差し込むことで、心が「ちゃんと大事にされている」と感じられます。
② 優先順位をつける
予定やタスクに追われているときほど、「これは自分のコアバリューにどうつながっているんだろう?」と問いかけてみましょう。
「つながり」が大事なら、無理に残業するよりも友人や家族と食事する時間を優先する方が、後で大きなエネルギーになります。
③ パーツごとの“好き”を大事にする
パーツ心理学の視点から言えば、がんばり屋さんパーツには達成感を与え、子どものパーツには遊びや安心を与えるように、それぞれのパーツが求める「好き」を少しずつ取り入れていくことが大事です。
例えば──
「安心感」を大切にしたい → 肌触りのいいブランケットに包まれ気持ちよさに浸る時間を意識的にとる。
「創造性」を大切にしたい → 1日10分だけでも、なにかを自由に描いたり、作ったりする時間を設ける。
「信頼」を大切にしたい → 自分の心との信頼関係を大事にする→自分の気持ちを無視しない→無理して本当は嫌なことをOKしない
このようにコアバリューを大切にする習慣を日常に少しずつ取り入れていくと、「やらなきゃ」に支配される毎日から「わたしにとって大事なものを大切にしている」安心感へと切り替わっていきます。
それが結果的に、ストレスに強く、ねぎらい上手な自分を育ててくれるのです。

好きを見つけて、自分を労おう
「好き」を深掘ることは、単なる趣味探しではなく、あなたの価値観を映し出し、心をねぎらう力を育てる行為です。
そして、その価値観を大切にした習慣を日常に取り入れることで、頑張りすぎのアクセルを少し緩められるようになります。
たとえ周りがあなたを大事にしない環境であったとしても、あなたはあなた自身を大切にすることができます。
そうやって「好き」を土台にした生き方を重ねていくと、ストレスに押しつぶされそうな状況でも、心と体をやさしく労わりながら暮らしていけるのです。
今まで置き去りにしてきた“好き”には、あなたのニーズ、必要としていること、大切にしていることが含まれていて、あなたを労るヒントが隠されています。
その背景には、あなたが苦しかった時に支えてくれたものや、嬉しかった理由が眠っているかもしれません。(ときにはトラウマとつながっている場合もあるので、無理せずゆっくりで大丈夫です)
この記事は、現在開催中のワークショップ「わたしの物語カフェ」の2ヶ月目「気を張ってきたわたしをねぎらう」 の内容をサポートする記事としてまとめました。
「好き」を深掘ることは、自分をねぎらう方法のひとつです。
もっと気軽に、自分の「好き」や「価値観」を探りたい方のために、GPTツール「わたしのコアバリュー・カフェ」もご用意しています^^(こちらをクリック)
AIカフェの店長さんとの対話形式であなたの「好き」を一緒に深掘り、価値観(コアバリュー)を見つけていく時間を楽しんでいただけます。
あなたの「好き」には、あなたの歴史がつまっていて、そしてあなたの魅力もつまっています。
ぜひ一度、あなた自身に「好きなもの」「好きな理由」をインタビューしてみてください。
きっとそれが、あなた自身をもっと「好き」になるきっかけにもなるでしょう。
最後にここまで読んでくださったあなたに感謝の気持ちを込めて、先日旅した上高地と、和歌山の白浜の映像をつくりました^^
この映像には私の「好き」がつまっていますが、あなたの「好き」と「その理由」を考えてもらえる時間になったら嬉しいです。