きみのママの一目惚れ
迎えが来るのを待つ間
それぞれの主人の自慢話で盛り上がる
お互いに老いた顔を見ながら
禿げてきた姿も愛おしく
昔の初々しかった日々を思い出す
それぞれが初めてあの小さな背中に乗った
なんとも言えない高揚感を
この美しい仲間たちからも
一際
羨望の眼差しを向けられる
きみから宝物のように大切にされているから
他の子より違う色を形を纏っていたおかげで
きみのママに一目惚れされた
きみを抱きしめることも
小言を言うことも
涙を拭くことも
できなくなったきみのママからの
最初の贈り物
きみが見たくないテストはしっかり奥にしまって
きみが借りたお気に入りの本を大切に守る
きみの大きくなっていく背中の温もりを感じながら
地面との距離はどんどん開く
見える世界は広がり
きみのママに抱き上げられた
あの時の世界が見えるようになってきた
いつかまたきみのママに再会するその日まで
ぼくはきみとの思い出を
このからだに刻み込む
そして伝えるんだ
きみはママに似て
やさしくて あたたかい人だと
子どもたちに贈られたものの中で
世界で一番幸せものだったと