大空へ強く羽ばたくために
今までできていたことができなくなり
力がでず
すべてが敵に見え
自分の無力さにただ怯え
時間が止まったように
なんの成長も見えない自分に苛立ちと
歯痒さをおぼえるとき
思い出す鷲の存在
生態系の頂点にも立つ
強く気高い鷲たち
そんな彼らも一時的に弱くなる時がある
それは換羽の時
今までの活動量や強さに比べると
うまく飛べない時がある
でもその時期があるから
また大空へ羽ばたける
彼らは弱さをおぼえる時
何を考え時間を過ごすのだろう
子どもの頃に憧れた空を
その昔母親の背中に乗って
山の一番高いところから見た景色を
なんとも言えない高揚感を
思い出すのだろうか
再び羽ばたくための準備期間を経た彼らは
私たちに
今が 弱さを感じる時が
決して無駄でないことを
教えてくれる
傷ついた野生動物を保護し
野生に戻すリハビリテーターたちは
羽を失いうまく飛べなくなった鳥たちを
再び飛べるようにするために
「継ぎ羽」をする
付け爪のように
失われた羽が新しくなるまで
かわりの羽をつけ
生き残る強さを与える
私たちも見えない羽を失った時
だれかに「継ぎ羽」をしてもらい
弱って動けなくなる換羽の時期も
乗り越えられる
そして新しく生えたその強い羽は
私たち自身を高く舞い上がらせ
翼を失っただれかを支える
「継ぎ羽」となる
そして
あなたはもうすでにその「羽」を持っている
昔より強くなった翼を