きみに残したプレゼント

肩に伝わる

きみのぬくもり

きみの心地よい重さ

この世界で何より愛おしくて大切なもの

手放したくなくて思わずきみを掴む手に力が入る

これからウソに塗れた世界で生きるきみを思うと

胸が張り裂けそうだ

このまま時間が止まって

きみの父親の座を守れるならどんなにいいんだろう

世界が下した決断に飲み込まれたきみは

わたしがきみを捨てたひどい父親だと聞かされるだろう

傷ひとつないこの肌があざだらけになるかもしれない

きみに憎まれるかもしれない

それでもすべてを覚悟した上で

親権を手放す

もう一度きみを取り戻すために

きみが二度と怯えなくていいように

きみがいつか自分のルーツを探すとき

わたしを見つけられるように

世界がきみについたウソを見破れるように

きみへの長い長い手紙を残した

きみを愛していること

たとえどんな犠牲を払ってでも

きみには愛し守り抜く価値があること

きみが流した涙は決して無駄にならないこと

きみを必ず取り戻し幸せにすると誓った想いを書き連ねる

別れる前にきみに見せたかったこの景色

毎日変わらずのぼりおちる太陽に託す

なにがあっても揺らがない

永遠につづくわたしの愛情を

きみがいつでもどこにいても思い出せるように

きみを変わらず愛していること

きみが生きていることを願っていること

きみの心の安全基地になれるものを

この世界に散りばめる

「親に捨てたられたきみは誰からも愛されない」

そんな真っ赤なウソを吹き飛ばそう

きみは他でもないわたしの自慢のこども

きみはひとりじゃない

わたしがいる

さぁ出発だ

きみを愛する父親としてふさわしいことを

この世界のすべてに証明するため

きみの笑顔を取り戻すための

わたしたちの闘いがはじまる

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