コア・バリューが人生に贈る5つのギフト

年末年始になると、個人でも組織でも、一年を振り返ったり、次の目標を立てたりする機会が増えますね。

今年一年いいことがあった場合や次の年に向けてやりたいことがあったり、希望が持てるような状態であれば、この作業はとても有意義な時間になると思います、、が、、、

できれば目を背けたいことだらけだった一年だったり、先のことを考える余裕を失うくらい落ちてたりするとこの時期ネガティブな気分になってしまうこともあります。

今回はメンタルケアのコーチングのセッションでも扱う内容で、私自身も人生を振り返ったり、今後の道筋を考えるうえでとても前向きにさせられるものがあるので、ここでご紹介したいと思います。

コア・バリューとは

今回のテーマにもなっている「コア・バリュー」とはなんでしょうか?

コア・バリューとは、Core(核)となるValue(価値)という意味のとおり、企業や個人にとっての「中核となる価値観」、重要視する価値観のことです。個人や組織がものごとを判断するときの「ものさし」ともいえます。

耳慣れない方も多いかと思いますが、実はこの「コア・バリュー」は、2016年ごろから世界で重視されるようになりました。
アメリカのビジネス誌フォーブスが掲載した「優良中小企業ランキング」にて、上位企業の多くがコア・バリューを公開していたことがきっかけとなり、企業や個人でもコア・バリューを設定することの重要性が認識され始めたからです。

個人の場合でのコア・バリューは、それがなくても生きることはできるかもしれないけれど、それがないと生きる意味がないと感じられるほど、あなたの支えとなり、あなたが本質的に価値を置いているものになります。

「人生で強く価値を置いていること」
「人生に意味をもたらすもの」

コア・バリューの例としては以下のようなものがあります。

冒険・自律・バランス・美・勇敢さ・思いやり
挑戦・創造性・好奇心・決断
公平・信頼・友情・楽しみ・成長・誠実・ユーモア 内面の調和・親切
リーダーシップ・学び・愛・忠誠・意味のある仕事
オープンさ・楽観・平和
喜び・尊重・責任・安全・安定 豊かさ・安心
自信・つながり・決断・威厳
発見・探検・家族・自由・健康・直観・意欲
情熱・成功・エネルギー・意志
公正 根気・分け合い・奉仕・シンプルさ・純真
自発・強さ・伝統・希望
知性・正義・静寂・自然

よく混同しやすいのが、ゴールとコア・バリューです。ゴールは「目的地」で、コア・バリューは「方向」です。
たとえば、「東大に合格する」というゴールを目指していてそれが達成されても、自分が何を大事にしていて、そこからどのような人生を歩みたいか、ゴールを達成した後のコア・バリューがわからなければ、結局自分の人生に満足できません。

コア・バリューを持つと具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?自分のコア・バリューを見極めるのにはどんな方法があるでしょうか?このブログでは大きくこの2つのポイントを扱います。
まずは人生を変えるほど大きな意味を持つ「コア・バリュー」が私たちの人生に贈ってくれる5つのギフトについてこれから考えていきましょう。

コア・バリューが人生に贈る5つのギフト

一つ目のギフト:充実感

一つ目のギフトは充実感です。心が満たされている状態とも言えます。

「人生に意味をもたらすもの」とも言われるコア・バリューですが、自分のコア・バリューを知ることで、自分自身が人生に何を求めているのかを把握しやすくなります。
自分のコア・バリューを知るために自分に問いかける質問の一つとして次のようなものがあります。

「私が今、必要としていることは何だろう?」

この問いに答えるためには、自分の人生で深く大切に価値を置いていることを知っている必要があります。私が何を必要としているか、という問いは、自分が不十分だから何かを得なくてはいけないという意味合いではなく、自分が芯から必要としていることが何か、という意味合いです。自分の「コア・バリュー」を認識しておくことで、人生の中で自分が必要としていることが明確になり、それを自分自身に与えられるよう、行動を起こすことができます。

自分が本音で大事にしている個人的な価値と、まわり(社会・家族・仲間・所属する組織)が求めているものが合致しないこともあります。その場合、どれが自分が本当に大切に価値を置いていることで、どれがまわりが求めているものなのかを識別する必要があります。

そのためには、自分自身が本音で大事だと感じていたり、そのコア・バリューによってエネルギーや幸せな気持ちが自然と湧いてくる感じがあるか、それともまわりから「これが大事だ」と言われ続けてきたからそうだと思っていたり、自分はこうあるべきと思っていたりするのか、を見極めましょう。自分の心が満たされていない場合はもしかしたら、まわりのコア・バリューで動いている可能性があります。

あなたの本音の部分のコア・バリューがはっきりしているなら、目標を達成した後やたとえその目標が達成できなかったり、目標自体を変更せざるを得ない状況になったとしても、自分が大事にする人生の価値を認識しているので充実した生活を送ることができます。

二つ目のギフト:信頼

二つ目のギフトは信頼です。

コア・バリューが自分にとっての大切な個性になるので、それが自他ともに定着すると相手からの信頼につながります。
なぜなら、身近な人や仕事で関わる人に対する対応に自分のコア・バリューが現れるからです。コア・バリューがあるなら、どんな人間になりたいかに応じて、自分の行動を選択する上でヒントになります。何かの決断を下そうとする際に、コア・バリューが意識されているとそれに沿った判断や行動が取れます。

例えば、ものづくりや表現活動をするクリエイターたちは、自分のコア・バリューを「創造性」「クリエイティビティ」としている人が多いかもしれません。
「クリエイティビティ」を追求していく中で、彼らの行動は「普段から偏見を少なくし関心を広げる」ことを意識したり、「反対意見などにも柔軟に傾聴する」ことを心がけるでしょう。

そうやってコア・バリューが自分の行動の指針になるので、周りからもそれがあなたの個性・魅力として認識されるので、人としても、仕事の面でも尊重され、その個性を求められる人や組織からはより信頼される人、必要とされる人となっていきます。

三つ目のギフト:自信

三つ目のギフトは、自分に対する適度な自信です。自分にとって大事なことが分かっていれば、自分に適したキャリアパス(仕事における道筋)を選びやすくなります。
また、自分の本音のコア・バリューがはっきりすると、望むものや自分にとって大事なことが分かるようになるため、人生に対する不安や心配が軽くなります。

二つ目のギフトでもある信頼にもつながりますが、その信頼につながる言動を努力するので自信を持つことができ、より積極的に活動できるようになります。
それにより自分が必要とされている実感・社会に貢献できている実感を味わうことができます。この実感があることは孤立感を遠ざけ、社会とのつながりを作るので、結果ストレス耐性に強いオキシトシンの分泌を促し、心身の健康維持に大いに役に立ってくれます。

四つ目のギフト:共感性

四つ目のギフトは共感性です。コア・バリューを持つことの重要性を認識しているなら、自分と同じ信念(コア・バリュー)を持つ人にはもちろんそうですが、違う信念を持つ人たちに対しても、それぞれのコア・バリューが存在するという認識があるため、いろんなタイプの人であってもまずそこの共通点をおくことができます。
そうするなら、それぞれが己のコア・バリューを大切にしながら人生を歩んでいることへの敬意と共感が生まれます。

自分とは違う言動、それがたとえ自分のコア・バリューからすると不可解なことであったとしても、相手は別のコア・バリューを持っているからこそ自分とは違う言動に至るのは当然のことであると、自分や他人の言動の違いに理解を深めることができます。そうするなら家庭内や仲間内、ビジネスの場でも、人間関係での無駄な緊張が少なくなります。

五つ目のギフト:安定したメンタル

五つ目は安定したメンタルです。メンタルケアを専門にしている身としては一番魅力的なこのギフトについて少し詳しく説明したいと思います^^

私たちが感じる苦しみは、実は自分のコア・バリュー(人生で強く価値を置いていること)と関連しています。
たとえば、コロナ渦ではステイホームの時間が長かったですが、自由や冒険がコア・バリューの人にとっては外に自由に出かけられないのでストレスになったかもしれません。
逆に学びなどがコア・バリューになっている人にとっては新しいことを学ぶチャンスのある意義深い時間として過ごせたかもしれません。

同じ出来事であっても、その人のコア・バリューによって感じる苦しみや悩みは違ってきます。
コア・バリューのジャンルが限られてしまうとコロナ禍のように特殊な環境になったときにストレスを感じやすくなりますが、冒険や学びのように複数あるとあらゆる状況に柔軟に対応できます。

また、希望や愛など自分にとって絶対に揺るがないもの、何があっても奪われることのないコア・バリューがあると、些細なことに捉われることがなくなるので、安定したメンタルを維持することができます。

自分の感情を刺激されるときは基本、コア・バリューを刺激されている時なので、ポジティブな気分、ネガティブな気分になったらそれぞれ自分のどのコア・バリューを刺激されているのかをちょっと観察してみてください。
ネガティブな感情になっているときは、コア・バリューが守られていない時、侵害されているような状態なので、そのコア・バリューをケアしてあげるため、満たすために、自分は自分に対して何をしてあげたらいいかを考えると、そのストレス状態から抜け出す糸口につながります。その際コア・バリューを意識するなら、それを得る相手や方法を限定する必要はないので、柔軟なものの見方ができるようになります。

さらに、個人の悩みだけでなく、人間関係で生じる悩みにも効果的です。四つ目のギフトの共感性ともつながりがありますが、コア・バリューが「人生で強く価値を置いていること」で、「生きる意味」、「支え」となるものであることを覚えておくことは、相手の言動に振り回されずに穏やかな心を維持するのに役立ちます。
「自分の感情を刺激されるときは基本、コア・バリューを刺激されている時」なので、相手が感情的になったらこの原理を思い出します。そして、自分を観察する時と同じように相手にも応用してみます。
相手がネガティブな感情になっているときは、その人にとってのコア・バリューが守られていない時なので、相手のコア・バリューを洞察して、そのコア・バリューをケアするために、相手に対して何をしたらいいかを考えて行動するなら相手を落ち着かせることができたり、問題解決につながることもあります。

コア・バリューが自分や相手にどんな作用をもたらしているかを理解して行動できるなら、多少のことには動じないブレないメンタルを手に入れることができます!

シルバーライニングを探しながら人生を振り返る

自分のコア・バリューを見極める方法の一つとして「これまでの人生を振り返る」というものがあります。

改めて思い出したいのは「自分の感情を刺激されるときは基本、コア・バリューを刺激されている時」でした。なので自分のコア・バリューを知るには、これまでの人生で最もうれしかった瞬間と、最も苦しかった瞬間を振り返り、そのときの経験から自分のコア・バリューに関して何が言えるのかを探ることができます。

たとえば、サービス業でお客様の悩みを聞いて相談にのるようなお仕事の方であれば、個人的な気遣いを示して相手の心の荷を軽くするお手伝いをすることもあります。そのことに対する感謝の手紙をいただいたことが心に残る出来事になっているなら親やすさや思いやり、信頼が重要な信念となる可能性があります。

また、最も苦しかったときのことを振り返り、共感や愛が自分にとって重要な信念だと分かる場合もあります。

この人生を振り返る際、嫌な記憶がフラッシュバックしてしんどくなるかもしれません。このフラッシュバックによる痛みを少しでも和らげるのに助けになるのが、シルバーライニングを意識することです。

シルバーライニング(silver lining)とはなんでしょうか?
直訳すると「銀の裏地」です。直訳だと一瞬頭の中が?になりそうな表現ですが、日本語訳では「逆境の中での希望の光」といったかんじになります。

これは雲の後ろに隠れる太陽の光や、雲の周りを縁取る光の輪郭のイメージからきています。

天気は曇りで、部屋から見える空は雲で覆われています。でも、雲の後ろには太陽の光が少し見え、暗い雲たちが開けば明るい太陽が出てきそうな、そんな様子です。たとえ黒い雲しか見えていないように思える時でも、太陽は消えたわけではなくその黒い雲の裏にはどんな時も温かい光を注いでくれる太陽が存在していることを私たちは知っています。

英語では有名な諺に下のようなものがあります。

“Every cloud has a silver lining.”
全ての雲には銀の裏地があるものだ。=逆境の中にも希望の光はある

ダイビングをする際、深い海に潜っているとその冷たさや暗さ、息苦しさにばかり意識が向いてしまうと恐怖を覚えてパニックになってしまうかもしれません。逆にバディやガイドの方が、太陽の光がもれて揺れ動く光のカーテンに気づかせてくれたり、その深さだからこそ出会える面白い生物の発見や地層の美しさに視点を向けさせてくれるならどうでしょうか?

あなたの人生においてもどの面に目を向けるかで感じ方はきっと変わるでしょう。

いろんなトラウマ治療の本を読んで私がそこから強烈に感じているのは「どんなに最悪で絶望を味わった人生でも、今あなたがこの瞬間生き延びているということがまぎれもない事実ならば、それはあなたの人生の中でどんなに小さくても光があった証拠だ」というメッセージです。

黒歴史に思えるような過去の出来事の中でもシルバーライニングを探すならその物語はあなたの勝利の物語になります。

自分の人生で起こった出来事を未完了で終わった失点として数え上げるのではなく、変わる努力をしてきたスコアを惜しみなく入れてあげましょう。そこで終わらず今まで生き抜いてきた間違いようのない事実があるのだから。。。
汚点や失敗としてカウントせずに、そこから這い上がった勇気のある自分としてカウントしましょう。きっとその中であなたが大事にしている、あなたという人生に意味を与えてきたコア・バリューが見つかるはずです。

もし、シルバーライニングを見つける作業がひとりではなかなか難しいと思われる場合はいつでも頼ってください。一緒に探しましょう。

あなたのシルバーライニングの先にあるコア・バリューはなんですか?

新しく始まる一年があなたに贈られるギフトで楽しいものとなりますように。。

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